Q1.サロン運営で意識していることはありますか?
「新卒雇用・教育」にもっとも力を入れています。
2014年にOROを創業してから11年間、中途採用は一切行わず、すべて新卒の方を採用してきました。
在籍しているスタッフは全員が新卒入社で、当社でしか働いたことがない人材で構成されています。
新卒で入社したスタッフをゼロから育成し、およそ2年〜2年半かけてスタイリストデビューさせます。
その後「年商1億円を目指せる店舗の店長に育て上げる」というのが当社の基本方針です。
新卒採用だと毎年4月にしかスタッフが入ってこないため、難しい側面もありますが、それでも毎年1〜2店舗の出店をし続けているのはいい結果だと思っています。
Q2.新卒採用にこだわる理由はなんでしょうか?
新卒採用にこだわる理由は、スタッフの価値観や育成の流れを統一すること・離職を防ぐことが目的です。
前職では200名以上のスタッフがいる大手サロンで働いていましたが、美容業界は離職率が高いのが課題だと感じていました。
美容師は所属するサロンによって、デビューするまで期間・客単価などバリエーションがたくさんあります。
そのため中途採用でスタッフを集めると、どうしても価値観や技術の方向性にばらつきが出ます。
26歳で独立した時に「どうすれば離職の少ない会社がつくれるか」と考えました。
自分の中で出た答えが「中途採用ではなく、新卒採用にこだわる」というものでした。
新卒スタッフをゼロから育てることで、会社の考え方や価値観を共有しやすくなり、自然とチームの絆も強くなります。
実際に、創業から5年間は離職ゼロを実現できました。現在でも離職率は低くて、10%を超えることはありません。
新卒採用が安定した組織づくりとサービスのクオリティ維持につながっています。


Q3.なぜ海外進出先にニューヨークを選んだのでしょうか?
ニューヨークを選んだ理由は、難易度の高いチャレンジで、実現できたらカッコいいと感じたからです。
当社では昔から「儲かるかどうか」よりも「かっこいいかどうか」を大事にしてきました。
お店の内装にしっかりお金をかけたり、新卒教育にこだわるのも「カッコいい会社でありたい」からです。
人をしっかり育て、全員が売上を出せるような仕組みを作る。そして、綺麗で大きな店舗を持ちながら、結果を出す。そうした王道のやり方を、ずっと大事にしてきました。
そのうえで「どこに出店すれば、会社のブランドとして一番かっこいいのか?」と考えたときに、浮かんだのがニューヨークでした。
地球の中心がアメリカだとすれば、そのアメリカの中心がニューヨーク。しかも英語圏で、実際に現地で英語を使って働けるというのも、美容師にとっては大きな経験です。
ニューヨークは難易度も高くて、簡単に挑戦できる場所ではないからこそ、あえて選びました。
Q4.海外出店という難しい決断をどうやって下しましたか?
私が考える「海外出店の条件」は3つあります。
1つ目が、現金1億円がなくなっても潰れないお金があること。
2つ目が、年商が5億円を超えていること。
3つ目が、社内にトラブルがなく、人材マネジメントが安定していること。
逆にいうと、このすべての条件をクリアしてなければ、そもそも海外出店のタイミングではありません。
当社では3つの条件がクリアできていたタイミングで、会社としての上り調子だったため「今なら海外出店できる」と判断しました。
加えて、私自身がかねてから海外挑戦をしてみたかったこと・海外出店に熱意のあるスタッフがいたことも決断の理由ですね。
Q5.ニューヨーク出店で難しかったことはなんですか?
難しかったことはたくさんありますが、一番はビザの取得ですね。
美容師がニューヨークで働くには「Oビザ(アーティストビザ)」が必要ですが、日本人美容師がこのビザを取得するのは、ほぼ不可能と言われています。
うちではOビザではない別のビザを取得して、3名のスタッフを現地に送り出しています。
多くの日本企業が現地法人に任せて運営しているなかで、ビザを3件取得したうえで、自社で管理・運営しているのはかなり珍しいケースだと思います。
こうしたビザの取得には、会社としての実績や信用が大きく影響します。トランプ情勢の影響・物価の上昇もあり、ニューヨークへの出店は年々難しくなっていると実感しています。
しかも、2020年1月にオープンした直後、コロナの影響で3月にはロックダウン。営業が止まり、毎月300万円程度の固定費だけがかかるという厳しい状況が続きました。
それでも、コロナ明けには郊外エリアの需要が伸び、高級住宅街に出店していたことが追い風となって、現在では単月で利益100万円以上を出せる店舗に成長しています。
Q6.POSレジ「Salon de Net(サロンドネット)」を導入したきっかけはなんですか?
Salon de Netは、創業したタイミングからずっと利用しています。
かなり前なので細かくは覚えてないですが、数社を比較して「Salon de Netなら多店舗展開など、自分たちがやりたいことが実現できそう」と感じたことが導入の理由ですね。
そこまで詳しい情報を把握していたわけではなく、ホームページ制作を依頼していた業者さんに相談しながら決めたと思います。
やや直感的な理由だったかもしれませんが、導入から11年間使い続けていること自体が、気に入っている証拠だと思います。
あと機能面では、細かい数字の分析や店舗間の比較をよく活用しています。
アプリからその日の売上や店舗ごとの数字がすぐに確認できるのも便利です。毎日チェックしていますよ。
長年利用してみて、現代の美容業界に求められている最新の機能が一通り揃っている印象ですね。

Q7.セルフレジ「Smooth Self & Ticket」を導入された理由や効果を教えてください。
セルフレジは、幹部スタッフの負担を軽減するために、経営者判断で導入しました。
美容室ではまだまだ現金の利用率が高く、全体の半分程度が現金決済になります。
朝のレジ準備や、閉店後の現金合わせ・レジ締めも時間や手間がかかり、幹部スタッフの負担も大きいです。
実際にセルフレジを導入すると、導入店舗ではお会計のミスがゼロになりました。
朝のレジ準備にかかる時間も、1日あたり15分ほど短縮できています。
空いた時間を有効活用できれば、会社の生産性も上がると思います。
例えば幹部スタッフは空いた時間を使って、他のスタッフの練習を見たりできますからね。
実際に幹部スタッフからも「お会計が楽になった」との声をもらっています。


Q8.セルフレジを導入して操作面でのトラブルはありませんでしたか?
運用するスタッフ・利用されるお客様どちらもトラブルはないです。
もともとPOSレジ「Salon de Net」をずっと使っているので、セルフレジへの移行も問題ありませんでした。
実際、導入した店舗からも「困っている」といった声は聞いておらず、スムーズに運用できていると感じています。
Q9.お客様の反応はいかがですか?
お客様からも「美容室でセルフレジって珍しいですね」と言われることが多いです。
当社は内装にもこだわっているので、セルフレジの導入とあわせて「すごいお店ですね」と言ってもらえるきっかけになっていると思います。
操作面でも、お客様は違和感なくセルフレジを利用されています。
今はセルフレジってスーパーでもどこでも当たり前にありますからね。
Q10.ビジュアル面や内装との調和はどうですか?
セルフレジの設置については、最初から導入を前提にデザインしているので、特に問題はありません。
現状では新設店舗にしか導入していませんが、設計段階から組み込んでいるためスムーズに対応できます。
一方で、既存店に導入しようとすると、Smooth Self & Ticketのサイズが大きいため、内装の改修が必要になるケースもあります。
最初の頃は「白の筐体がないのが少し気になるな」と思っていましたが、今では白も選べるようになり、実際に導入してみてもしっかり空間に調和しています。全体として満足していますし、問題なく使えています。
Q11.POSシステム導入を検討しているサロンオーナーへアドバイスをお願いします。
セルフレジを導入すると、会計ミスや不正のリスクがかなり減りますし、経営者としても安心感があります。
もちろん、店舗の規模によって向き不向きはあると思います。
最近はスタッフ数が少ない小規模なサロンも増えていて、内装費を抑えながら運営しているケースも多いですよね。
そうしたお店にとっては、セルフレジを導入するハードルが高く感じられるかもしれません。
ただスタッフが10名以上在籍していて、10席以上あるような規模の店舗であれば、絶対導入するべきだなと思います。
あとセルフレジは、追加で導入しようとすると設置スペースの確保が難しいことが多いと思います。
比較的広さに余裕がある店舗なら問題ないですが、そうでない店舗にとっては、途中から置くのは正直かなり厳しいかもしれません。
だからこそセルフレジを導入する可能性があるなら、最初の店舗設計の段階から組み込んでおくべきだと思います。
業務効率も上がりますし、管理面でもメリットが大きいので、一定以上の規模のサロンにはぜひオススメです。
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兵庫県尼崎市南塚口町1-12-5 BROOKLYN SQUARE 1F