1994年 大手美容室
同社に19年勤務し、取締役店長として会社発展のために活躍。200名の社員の責任者となる。
2012年 東京都恵比寿で株式会社Attina(アティーナ)設立
髪や頭皮の健康を通じて、お客様本来の美しさをリチャージしていただきたい、という思いから業界初の“オールインクルーシブ・サロン” の業態を開発
2019年 完全定額制美容室のサービススタート
2019年 完全定額制会員200名突破
2022年 完全定額制会員250名突破
2024年 オールインクルーシブ・サロン塾設立
Q1.大久保様ご自身のキャリアと、Attina設立までの背景を教えてください。
美容専門学校を卒業し、19歳で大手美容室に新卒入社しました。
元々独立志向があったわけではなく、約19年間同サロンで働き、取締役まで昇進し200人以上の美容師を指導してきました。
マネジメント業務と並行して「スタイリスト」として現場サロンワークも19年間続けておりましたが、
年齢と共に体力的にも難しくなり、時には体を壊すこともありました。
働き方を変えマネジメント職へ専念することも検討しましたが、当時はスタイリストとして活躍することを求められており、退職をすることを判断しました。
美容室・美容師として長期で働くことや収入に対して、失望していたこともあり、
より収入が得られる美容以外の仕事をするつもりではおりましたが、周りの知人からの助言や、自分自身“美容室・美容師が好き”であることには嘘をつけず、自分だけでなく『どんなスタッフでも全員が活躍できる美容室』を創ることを誓い、2012年に夫婦2人でAttinaをオープンしました。
Q2.Attinaのサロンコンセプトを教えてください。
Attinaはお客様の“髪”と“頭皮”のお悩みを解決する『エイジングケアサロン』をコンセプトとしております。
そしてもう1つ『お客様は財布を持たず、そして料金を気にせず、通い続けられるサロン』といった裏コンセプトがあります。
Attinaはこの2つのコンセプトを追求し、生まれたビジネスモデルが『会員定額制サロン“オールインクルーシブサロン”』になります。
Q3.会員制・月額制「通称:サブスク型」を前面に出して成功されているサロン様も多くないと認識しております。導入するに至ったきっかけや背景など教えてください。
実はAttinaをオープンしてから、スタッフ全員が活躍できる美容室を目指したものの、スタッフもなかなか定着しない日々が続いておりました。
その間に海外事業にも興味を持ち出し、当時美容の発展途上国でもあったカンボジアで美容商材を販売する事業を展開しており、Attina自体を閉店させることも考えていました。
その時に「HDS」という美容室経営者向けのビジネススクールに出会い、そこでサロン経営についてゼロから勉強し直すつもりで、参加しそこでの学びや出会いが全てが刺激的で、経営において“ビジネスモデル”の確立と追及の大切さに気付きました。
そこで出会ったのが後に“オールインクルーシブサロン”に繋がる『会員制ビジネスモデル』です。
ビジネススクールで学んだ会員制ビジネスモデルの様々な事例を凝縮し、Attinaにも落とし込んだところ、当時スタッフ4人で月間の売上が平均220万程でしたが、半年後には美容売上640万となり、良くも悪くもAttinaの環境は大きくかわりました。
サロンの売上と共にスタッフの給料も短期間で大きく上がったスタッフもいます。
しかしながら、“ビジネスモデル(仕組み)”により創り出した売上であることが前提でありながらも、自分は“売れている・人気がある美容師”として理解して、“お金”や“物”に対する“欲”が大きくなることも目立ち始めました。
その結果、お客様を“綺麗・美しく”することより“儲ける”という感覚で仕事をしてしまっておりました。
その時に、改めてこれまでを振り返り、自分が大手美容室で19年間トップの技術を学び、独立させていただきAttinaを設立した時の想いとは大きくかけ離れていることに気づかされました。
その後は改めてAttina設立時の理想を追求し直し、オリジナルの会員制・定額制ビジネスモデル『オールインクルーシブサロン』を創り出しました。
大きな変化でいうと、
・売上による歩合給の廃止
・スタッフ全員で1人のお客様を担当
※カットを担当する主担当は1人
・売上安定によるランチ全支給
等々、今に至るまで仕組みのブラアッシュアップを繰り返し、これまで存在していた“競争”の風土から“助け合い”の風土を創り、あえて“エース不在”の美容室にしました。
結果、労働集約型といわれる美容室経営でありながら“脱属人化”に成功し、店長が辞めても一切売上が下がることもなく、超安定経営を実現しました。
言葉で説明するのは簡単ではありますが、もちろんこの仕組みを導入するにあたり、課題やリスクも沢山あります。
ただ長年勉強を積み重ねて、ここ数年でようやくノウハウが体系化されたため、詳細については是非セミナーでお伝えできればと考えてます。
Q4.いろいろ経験されてきた中で、改めて大久保様が思う「美容師」として大切な事、「経営者」としいて大切な事を教えてください。
私自身も「美容師」として、30年以上色々と経験してきましたが、シンプルに
“目の前のお客様を綺麗にしたい”
“どうしたらお客様の悩み・コンプレックスを解決できるか”
という想いこそが、美容師としての本質であり、とても大切だと思います。
「経営者」としては、“社会貢献”の精神を常に持つこと、
そして“個人のスキルだけでなく、チームとして顧客に感動していただくこと”を追及して、仕組みを創ることが大切だと思います。
Q5.最後に、今回のセミナーに参加する方や、参加検討している方に向けてメッセージをお願いします。
決して「定額制・会員制」のサロンが“正解”ということを伝えたいのではなく、“労働集約型”且つ“属人化”しやすい美容室経営において、『仕組み』で経営課題を解決できるということを、自分自身の経験と学びから得た実体験を通して、まずは優先してお伝えしたいです。
そして、『お客様が本当に求めていることは何か?』、様々な業態のサロンが展開され、多様化が進む中で、『髪の悩み解決』が美容経営におけるヒントであると考えており、改めてそこに気づいていただけるきっかけを提供できれば幸いです。